I’m a fifty-year-old boy(50歳になってもまだガキだ)という事実を口に出していいものかという疑問について考える
映画「ファイト・クラブ」が好きでした。
「ファイト・クラブ」を知ったのは、今から20年ほど前の20代後半のころ。
その頃は大企業に勤めていて、実務に役に立つとは思えない「TOEIC600点以上」という目標を掲げられ、英語の集合研修が強制的にありました。今となっては、もっと感謝しても良かったのだろうけど。
その中で、来日間もない、若い女性による授業がありました。時々、熱く語ることがあり、授業の細かい内容は忘れてしまったのだけれど、覚えている唯一のことが、英語学習について語っている最後の方で、ガッツポーズをつくり、「ファイト・クラブ!」と叫んだことでした。
おそらくは、
「英語がわかるようになれば、今公開中の映画の、例えば、ファイト・クラブが見れるようになるんだよ」
というようなことを言ったはずなのだが、これは曖昧なので、確実な情報として、
・若い女性の欧米人教師がいた
・ファイト・クラブと叫んだ
・叫ぶと同時にガッツポーズ
・僕から見て、右斜め前方に教師がいた
とだけにしておきます。
公開中の映画のため、CMではよく流れて、体が仕上がったブラット・ピットがカッコよくもあり、気になってはいたのだが、かと言って、映画館に足を運ぶほどではありませんでした。
しばらくして、TSUTAYAでレンタル開始になり、借りて見ました。
圧倒されました。
僕の気に入ったポイント、圧倒されるにいたるまでの確実な土台を作ったものとしては、
・秘密クラブ
・男だけでルールを作って殴り合いをする
・ファイトクラブのメンバーはどちらかと言うと、社会的な地位があまりパッとしない人たち
・クラブがどんどんと狂った方向に行く(ある意味ではまともな方向に思えてしまう)
です。特に一番の気に入ったポイントは、
・どんどん狂った方向に行くも、最後までそのままで行く
です。
同じ観点から考えると「コインロッカーベイビーズ」も好きですね。
冒頭でこの映画が「好きでした」というのは、何回か見ているうちに、30代後半ころになると、かつてのように、自分がリブートしたような感動は無いし、何か刺激が強すぎるような、とげとげしい感じがしたからです。これを単に老化というのかもしれませんが。
そして、僕の中で残ったのは、主人公(エドワード・ノートン)の言葉
I can’t get married. I’m a thirty-year-old boy!
(結婚?30になっても僕はまだガキだ)
でした。
30代のころは、まさに僕にはぴったりな言葉であり、そして、間もなく50歳を迎える今でも、残念なことに、ぴったりでもあります。年をとっても、中身は成長してないし、実年齢のマイナス10歳ならまだしも、一体お前はいくつなんだよ、と呆然としてしまいます。
今はまた、小説の新訳版が出たようで、どこかで読もうと思っています。