はじめに
電験三種の勉強を振り返り、有用だと思ったものをまとめておこうと思います。
プロフィール
- 2020年に電験三種に合格
- 3回の受験で合格(1年目:理論、機械、2年目:電力、3年目:法規)
- 勉強スタート時は40代後半
- 勉強時間は(少し多く見積もって)、1200時間弱くらい(1日2時間で週3~4日のペース)
- 理系大学院卒(物理専攻)
- 電検三種の受験を考えてもいない40代半ばくらいの時に、サイン、コサインの違いを忘れていることに気づき、自分でもかなりびっくりする。
電験三種の難しさについて
レベルとしては、何となくですが、大学1~2年のレベルくらいかと思います。
例えば、理論で物理に相当する問題は、大学入試用の基礎レベルの問題集で対応することができました。
まぁ、一番良いのは、一度過去問を見ることでしょう。
僕自身も、受験を迷っている時に、本屋で過去問を何度か見て、
「(ちゃんと勉強すれば)対応できるかどうか?」
を想像してました。
困ったのは、範囲が広いと感じたことです。
「感じた」としたのは、他の資格と比べたわけでもなく、ただ自分がそう感じたからです。
過去問を見た時に、理論は順調に勉強すればいつかは解けると想像できるのですが、他はどうすれば良いか、よくわかりませんでした。
そして、もっと困ったのは、分からない箇所が出てきたときに、
- (大学で受けるような)科目でいうと何にあたるのか不明
- どんな専門書を読んだら良いのか不明
ということでした。
理論の科目であれば、「電磁気」の専門書を見れば解決できるとわかるのですが、他の科目の機械、電力、法規などは、
「どれを見たらきちんと理解できるのだろう?」
と分からずでした。
もちろん、購入した電験三種のテキストや通信講座で、一通りきちんと説明してはいるのですが、意外とあっさりな感じがして、読んでも良く分からずで、のちに紹介するような本で何とか乗り越えることができました。
勉強する順番
勉強する順番は、
理論→機械→電力→法規
が一番良いかと思います。
購入したTACのテキストや通信講座でもそう書いてますね。
TACの「みんなが欲しかったシリーズ」の最初の方に、
- 各科目の特徴
- 勉強する順番
が簡潔にまとめられているので、これだけでも読むのをおすすめしますよ。
おすすめの参考書
まずはこれをそろえよう
まずは買うべきものは、
TACの「みんなが欲しかったシリーズ」の4科目
で良いと思います。
理由としては、
- 大手の資格学校でもあり
- 実際のコースのテキストにも使っている
- きちんとしっかりと書いている
- 別冊で問題集もついている
- 網羅しすぎず、必要な分のみを扱っている
- きちんとUPDATEしている
- 語呂合わせで覚えさせることなんてしない
になります。
これを読んで分からいない箇所は自分で専門書を買うなりして調べたら良いかと思います。
理論
みんなが欲しかったシリーズ
とりあえずは、TACの「みんなが欲しかったシリーズ」を買いましょう。
この本の最初の箇所に、理論の概要や4科目に対する位置づけを知ることができます。
物理の問題対策
TACシリーズを買ったものの、物理の問題に関しては、問題集の解説ではしっくりとこなくて、旺文社の「基礎問題精講」にお世話になりました。
実際に着手したのは電磁気の例題と実践問題のみです。
これをやっておけば、電験2種の物理問題対策にも十分かと思います。
TAC本の解説に納得が出来ない場合
電気回路などの問題解説や、公式の導出・説明が良くわからなかったりした場合には、こちらの本がおすすめです。
下巻もありますが、上巻だけで事足りるかなと思います。
作者は電験の過去問も研究しているようで、分からない問題が出た時には、類題があったりとして辞書的に使うこともできます。
「まえがき」にもこんなことが書かれています。
電気主任技術者、無線通信士、無線技術士の上級問題のほとんどを集録しており、これらの国家試験受験者にとってもよき参考書となるであろう。
理論のもっと基礎的なことが知りたい場合
公式を覚えてしまえばいいのですが、根本的なことが知りたい場合、例えば
- コンデンサやコイルにかかる電圧の導出
- 上記の位相が90度遅れるのか進むのか
などが知りたい場合におすすめの本があります。
また、「ベクトルの外積」という概念(そこまで難しくないけど、必要なこと)を導入しているので、フレミング左手の法則に対して、いちいち自分の手を出してくねくねと考えることなく、スマートに考えることができるようになります。
数学の基礎で止まってしまう場合
理系の大学院出身のものの、卒業したのはかなり前だったので、本当にすっかり忘れてしまい、数学の基礎、しかも高校生レベルで止まってしまうことがちょこちょことありました。
例えば、
- 微分積分の基礎
- 三角関数の基礎
といったことです。
個人的にはやっぱり学びなおしたいと思い、旺文社の「基礎問題精講」の
- 数学Ⅰ・A
- 数学Ⅱ・B
- 数学Ⅲ
を買って問題をちょこちょこと解いていきました。
個人的に数学が好きなので、電検三種の勉強を始める前のウォーミングアップ用に取り組む感じでした。電検三種が受かる3年間にわたってだらだらと解いた感じです。
(あまり必要ないかもしれませんが・・・)
僕はこの、旺文社の
「学ぶ人は変えていく人だ」
という言葉がとても気に入り、そして勇気づけられました。
素敵な言葉だと思いませんか?
数学のもっと基礎的なことが知りたい
数学のもっと基礎的なことが知りたい場合、例えば
- 三角関数の加法定理はなぜ成り立つか
- 対数関数ってそもそも何だっけ?
- 合成関数の微分の公式はなぜ成り立つ?
ということが知りたい場合には、こんな本がおすすめです。
三角関数の加法定理なんて公式さえ覚えればいい!と言う人には関係ないですが・・・。
機械
みんなが欲しかったシリーズ
機械も、TACの「みんなが欲しかったシリーズ」を買いましょう。
この本の最初の箇所を読むと、機械の概要や4科目に対する位置づけを知ることができます。
TAC本では分からない人は
電動機などで、TAC本では分からない人はこの本はいかがでしょう?
正直、私の場合、実際に買って使ってみたものの、あまりしっくりとはきませんでしたが、レビューを見ると「これを読んで分かった!」という人も割といるようなので、紹介しておきます。
高専の教科書に使っているようなので、難しい記述はとくにないかなと思います。
電力
みんなが欲しかったシリーズ
電力も、TACの「みんなが欲しかったシリーズ」を買いましょう。
この本の最初の箇所を読むと、電力の概要や4科目に対する位置づけを知ることができます。
パーセントインピーダンスをきちんと分かりたい
電力の勉強を進めると知ることになるのですが、
「パーセントインピーダンス」
という、今まで聞いたこともない、よくわからない考え方が出てきます。
TAC本を読んでも良く分からずで、僕はこの本を読んで救われました。
とても分かりやすいかなと思います。
すぐに読みたかったので、カラー表示ができるKindleも持っていたこともあり、kindle版を購入しています。
「カラー表示できるKindle」などと書きましたが、Fire端末のことです。
お金がなかったので、小さめのサイズしか買っていませんが、なるべくなら大きめの方が良いかと思います。
後に紹介しますが、電気書院の10年分の過去問もkindle版を購入しています。
紙版は電話帳のような分厚いものですが、kindle版はコンパクトになり(当たり前ですが)持ち運びにも楽になるかと思います。
(ちなみに、今って電話帳ってあるんでしょうか?)
法規
みんなが欲しかったシリーズ
法規も、TACの「みんなが欲しかったシリーズ」を買いましょう。
この本の最初の箇所を読むと、法規の概要や4科目に対する位置づけを知ることができます。
僕は初版からお世話になりました。TACの過去問には
「この問題の解説はTAC本でここに記載されている」
と丁寧にあるのですが、法規に関しては
「該当なし」
というのが、残念ながらかなりありました。
つまり、TAC本を真面目に勉強しても、過去問に太刀打ちできないということです。
しかし、第2版は内容が充実し、そんなことも少なくなったようです。
法規に限らずかもしれませんが、電験三種の学習内容は、実務をやってみないとなかなか納得感を得られないことがちょくちょくあるので、何回読んでも分からない場合は、とりあえずは覚えるか、あきらめて飛ばしてしまっても良いかなと思います。
条文を何回読んでも分からない
法規に出てくる条文ってわかりにくくないでしょうか?
私の場合、「条文」は普段は読む機会もないので、とにかく分からなかったです。
というか、怖いことに「分からないことも分かっていない」状態でした。
何回か読めば分かるだろう、と思って繰り返しても、やはり分からないところが残ってしまいました。
「なんで分からないんだろう?」
と、「やっと」疑問に思ったときに、読解力以前に、
「条文の用語が分からないから」
ということに、ようやく気づいたことを覚えています。
条文の読み方や用語解説は大事なことだと思うし、そこまで量はないかと思うので、電験の参考書にも載せて欲しいですね。悩む時間が結構多かったように思えるので。
ちなみに、自分が引っかかった条文の一つとしては、
氷雪の多い地方のうち、海岸地その他の低温季に最大風圧を生ずる地方では・・・
電気設備技術基準の解釈第58条:風圧荷重の種別とその適用
にある、「その他の」の意味が分からなかったですが、紹介する条文解説の本を読んですっきり分かりました。
参考する箇所は少ないので、わざわざ買う必要も無いのかもしれませんが、やっと分かった時の驚きと感謝とリスペクトの意味を込めて購入してしまいました。
過去問
みんなが欲しかったシリーズ
過去問も、TACの「みんなが欲しかったシリーズ」を買いましょう。
この本の良いところは、
- 問題と解説を分冊して使える
- 難易度が分かる
- 該当するTAC本の箇所を明記してくれる
- 解けた/解けない/日付の記入欄がある
というところでしょうか。
※当初、この「問題と解説を分冊できる」というのはTACのみの売りでしたが、今現在は、他の出版社も真似していますね。
でも、解説が分からない・・・
TAC本はかなり解説が丁寧に書かれているかと思いますが、分からない箇所もあるかと思います。
分からないところが出た時に、立ち読みで他の出版社の解説を読み、納得がいったことが何回かありました。
そこで気づいたのは、
「他の出版社も必要」
ということです。
電検三種の性質なのか分かりませんが、できればもう1冊、他の出版社のものを購入すると、分からない箇所があった場合に、違う表現方法での解説があるので、理解することが出来る場合もあります。
私の場合は、電気書院のkindle版を購入しました。
勉強場所
みなさんは勉強場所はどうしているでしょうか?
私の場合、最初のころはスターバックスで勉強していましたが、
- コーヒー以外にも甘いものを頼んでしまう→結構、お金がかかる
- 場所とりが難しいときがある
- 騒がしいときがある(動画をイヤホンで聞いていないアホがたまにいる)
などということもあり、有料自習室で勉強することにしました。
ただ、有料自習室で勉強を始めた当初は、
- スターバックスのような華やかさがない(コーヒーの香りや音楽など)
- 誰とも話すことがなく(以前は店員さんとたまに話すことがあった)、孤独感が増幅する
- 半個室のような場所で、ずーっと勉強していると気が狂いそうになる
ということが起こりましたが、結果、有料自習室と契約して良かったと思っています。
また、機会があれば有料自習室のメリットに関して紹介したいと思っています。
試験本番の心構え
本番の心構えですが、ありきたりかもしれませんが、
「あきらめない」
が大切かと思います。
分からなかったり、そもそも勉強していない問題も出てくるかと思います。
そんな時には、「自分のもちうるすべての知識と直感と運を使って」挑めば良いと思います。
私の場合、機械は1年目に合格していますが、理論の勉強に追われ、機会も直流機の最初の方でつまずき、結局、あまり勉強できませんでしたが、「直感と運」と使って、あきらめずに選択肢を埋めていったところ、奇跡的に合格してしまいました。
なので、機械はいまだに良く分からずで、また勉強しなおそうと思っています。
ありきたりかもしれませんが、「あきらめず」でいきましょう。
最後に
電験三種に関してまとめてみました。
また少しずつ補足したり、勉強法についても本を読んで研究したので、そちらの紹介もしようと思っています。