※少しネタバレあり※
音楽などまるで縁が無い、昭和な刑事が、音楽隊に異動になってしまう。
仕事一筋で、奥さんに逃げられ(たと思う)、同居の母親は痴呆が進み(かなり進んでいる)、高校生の娘がいるも(かわいい)、当然のごとく仲が悪い。仲が悪いというよりは、娘からは歩み寄っている感じだが、主人公が仕事一筋すぎて、すれ違っている感じ。
想像したとおり、
- 異動先の音楽隊を否定
- 少しずつ音楽が好きになる
- 最後は成果を披露する
という展開。
これに加えて、主人公が前から追っている犯人を突き止めるという話も平行して進んでいく。
音楽×刑事ものといった映画でした。
演奏がちょっとずつ、うまくなっていくというありふれたストーリーではなく、血なまぐさい事件も平行するという点が新しく、観る人を飽きさせないとは思うが、音楽隊のみを描いても良かったようにも思えてしまう。
というのは、ラストの演奏シーンが一番感動するかと思いきや、そうではなく、小さなライブハウスで自主練習をする主人公が、バンド仲間と練習をする娘と偶然出会ってしまい、セッションをする、というシーンが一番感動しました。
主人公が刑事だった時に、無茶をやるたびに、部下から、コンプライアンス的に大丈夫か?と聞かれるも、主人公は「そんなの知らんがな」という態度で返す。
最後の音楽隊を乗せるバスが渋滞ではまってしまい、部下がパトカーで緊急誘導し、バスの中は大いに盛り上がる、と言うシーンでは、見ているこちらの方が
「コンプライアンス的に大丈夫でしょうか?」
と聞いてしまいそうでした。意味ないルールを気にしてばかりいる、悲しい現代病かと。
そして、最後の真犯人の発する圧倒的な暴力は、これぞ映画といった感じで見ごたえありました。
最後に、音楽隊隊長を演じるのは酒向芳(さこうよし)さんという俳優。
「検察側の罪人」では、「鬼畜役」を演じ、すごく圧倒されてしまい(息を呑んでしまった)、とても印象に残った方でした。今回のような役で再会すると
「心を入れ替え、更生して頑張ってるなー」
と勝手に親近感が湧いてしまいます。