僕がまだ大学生だった頃の楽しみは、決まった友人と力尽きるまで、朝まで飲み食いすることでした。
新宿で飲むことが多く、最初は危険な街と思ったが、しばらくするうちに、怖い人たちが作った、目に見えない厳格なルールに守られている感じがして、普通に過ごす分には、安全だと思えるようになりました。多少ハメを外したとしても。
いつもの様に、新宿へ向かう電車の中で、そいつが突然、
「おい!あれがシティボーイだぞ!」
と僕に向かって言いました。
当時でも(もちろん今でも)、めったに使わないような恥ずかしい言葉に、いろんな皮肉が込められていました。
見ると、よれよれのチェック柄のシャツ、ユーズドジーンズというよりは、ただの汚らしいジーンズ、コンディショナーと出会ったことのないようなごわごわした髪、リュックサックを背負い、肩からもカバンを下げていて、おまけに紙袋まで手に持っていました。
そして何よりも、意味なく目つきが鋭く、外を見て、何かを呟いている。
つまりは、秋葉原にたくさん解き放たれているような、特定の分野に対して、深く深く掘り下げている人。
僕と友人は、そのシティボーイを見て笑いました。
でも、笑ってはいるものの、彼らよりも充実した人生を送っているわけではなく、分野は違えども、僕らも同じような種族。
そう、僕らもシティボーイでした。
くだらないことからはじめよう。
恥ずかしいことからはじめよう。
cityboys.tokyoへようこそ。